2016年2月9日火曜日

春分の日を迎えて


 春分の日に岐阜県高山市を訪ねた。そこで図らずも見聞したのは、昔懐かしい「鬼は外、福は内」と、地域の人々が鬼や福に扮して、自分たちの地域を回っている姿であった。

 日本人は古来「鬼」は何を意味し,「福」とは何を求めていたのであろうか?私の勝手な解釈では、島国の狭い地域社会で暮らす人々が避けたいのは「独りよがりの自分勝手な人」で、「福」とは「周りの人々に安心感をもたらす思いやりのある人」ではなかろうかということである。

 春分によって改まる2016年はただならぬ年となり、私たちに様々な警告、苦痛、損害をもたらすこととなろう。それも全て「地球規模」の大きなものである。収まることの無い大気温暖化によって引き起こされる異常気象は最早「異常」ではなく、人々の願いを空しくして大規模な天災・人災を引き起こしている。世界各地では水不足に、大変な乾燥に見舞われ、同時に大水害も経験している。洋上の島国は水没の危険に絶えず曝されている。アジア・アフリカの沿岸諸国は海水位の上昇で耕作地をどんどんと失っている。かくして、人類は前代未聞の危機に直面しているが、人々はそれらを余り深刻に受け止めず、学者や政治家も環境面で警鐘を鳴らす人の数は限られている。

 世間の人々が気にするのは株価、収入、暮らしぶりと言ったところで、2050年から2100年にかけて私たちの子孫がどのような運命に弄ばれるのかなどには考えが及ばない。

 どうです、皆様、これで良いのでしょうか?これから「鬼」で過ごしますか、それとも「福」に徹しますか?一市民として、人の親として、地球の将来に少しでも責任を感じ、何かしらの対応策を持ちませんか?政治家や官僚が何の行動をも起こさなければ、市民がやるしかありません。地球の将来を救うため立ち上がりましょう。

2016年1月25日月曜日

新しい年を迎えて 

                                
 新年ななったと思っていたら、もう一月近く経ってしまった。全く、月日の経つのは早いものである。最近の異常気象に振り回され、地球の将来やこれからの環境問題を考えると、あまり楽観的な気分に浸ってはいられない。
でも、国際的にはパリのCOP21が曲がりなりにも合意を得たし、SDGsも発表された。
わが国では、ようやくの事で国連環境計画(UNEP)を支援するUNEP協会が11月に設立された。そうなると、いかに多くの異常気象や天変地異、様々な企業での不正があろうと、「ただ悲観していては駄目だ、なんとしても地球の将来だけは守ろう」と言う気分になる。これが私の新年の決意だ。三日坊主にならぬように気をつ
けなくては!
 
 先ず、先達・先人たちの(ゴルバチョフ氏、モーリス・ストロング氏、ワンガリマー
タイ女史など)ビジョンと情熱を思い起こし、彼らの意志を引継ぎ、地球と人類の将来を守るよう決意しよ
う。彼らが2000年6月に発表した「地球憲章」(Earth Charter)をひも解こう。
そして、今年は私たちの「行動の年」にしよう。
 
 実際、この地球は存亡の危機に直面している。私たちに傍観は最早許されない。
皆危機感を持って環境保全の為に立ち上がろう。なんでもいい、出来ることをや
ろう。それは、生活を切り詰めること、植林をすること、電力やエネルギーを得
るためにはもう温暖化ガスを放出する石油、石炭などに頼らずに、太陽光や風力
のような「再生可能エネルギー」に切り替えなければならないということだ。
環境NPOの活動に参加しよう。家庭で、学校で、職場で、何が出来るか、何をすべ
きか話し合ってほしい。そして、悔いの残らない生活をしよう。
 
 会員の皆様が危機感を持って環境問題に何らかの形で対処することを心から祈り、新年のご挨拶としたい。」

2015年12月29日火曜日

年の暮れを迎えて


 
皆様、今年も残すところは「後わずか」になりました。後に残るのはお正月。楽しく、明るい心で、お正月を祝いたいものです。

今年の暮れに飛び込んできたのはパリで開催されていたCOP21が締結し、一応加盟国全部が地球温暖化を防ぐために合意したというニュースでした。私はこの会議の成果に概して悲観的な期待感を持っていましたので、このニュースは私にとっては嬉しい驚きであり、明るいものでした。18年ぶりに二酸化炭素の排出を減らしていこうという世界の申し合わせですから!

第二のニュースは、日本に国連環境計画の活動を支援する団体(UNEP協会)が立ち上がったことです。この設立には相当な期間とエネルギーが費やされました。でも、関係者たち、特に宮内淳氏の設立に対する情熱とエネルギーには敬意を表したいと存じます。これから皆でこの協会の活動を見守り、支援して、日本政府が国際社会で地球の将来を守るリーダーシップを取るよう活発な意見と活動を展開して行きたく存じます。

異常気象が今のように頻発するようになったのも、この地球をここまで汚してしまったのも私たちです。今やこの地球は人類存亡の危機を迎えております。もう一刻の余裕もありません。その為、私たちは、子や孫の将来の為に今すぐ一肌も二肌も脱がねばなりませんし、後に続く世代の為にこの掛け替えのない地球を守る行動を起こさなければなりません。そこで、皆様、年が明けたら、二酸化炭素放出を減少するために自家用車の運転を大幅に減らす決意を致しませんか?バスや電車など公共交通機関を積極的に利用すれば、そして、自家用車をお互いに乗り合わせるようにすれば、実行可能です。石油や石炭などの化石燃料の代わりに太陽光・太陽熱、風力、水素などを利用して発電するよう働きかけましょう。社会的に少しでも影響力をお持ちの方は、政治家や官僚に対して、また、周りの人々に対して、ありとあらゆる公共の建物には、そして、設置可能な建物・家屋には太陽光パネルを設けて、自分たちの消費する電力は自給自足する努力をするように語り掛けていただけませんか?更に、政治家には、原子力発電は推進しないことや大気温暖化防止をすべてに優先して予算を組むことなどを要求しましょうよ。更に、お口に入れる食品には、肉類、砂糖類、乳製品、化学薬品を極力避け、有機農法の米・野菜を主とし、自分たちの命と地球を守る努力をする必要があります。その他に、植林を含めて、すべきこと、出来ることは山ほどあります。それが何であろうと皆で力をあわせて一歩踏み出すことが必要です。

皆で力を合わせて、地球の将来を守る努力を致しましょう。

2015年12月12日土曜日

世界平和


 

この世に完全無欠な人、欠点の無い人なんていないよね。人は誰でもそれぞれ長所・短所を持って精一杯生きようとしているのさ。だから、他人と比較して、自分が劣っているとか優れているとか決めるのは意味ないのさ。同時に、自分の考えや思想にそぐわない人を退けたり、糾弾したり、決めつけたりすることも無意味だと思う。それをすると、孤立と争いを助長するだけになってしまうから。

この世を構成している「足りない」人々がお互いに補い合って、助け合い、少しでも暮らしやすい世の中を作るような努力をすれば、そういう人たちの周りは友愛と信頼が生まれるのと違うだろうか?そしてそこに心のなごみが生まれ、「平和」のポケットが出来るだろう。

こういう風に考えれば、世界平和なんて簡単に実現できるよね。要は他人の価値観や考えを裁かず、金子みすずのように「みんな違ってみんな良い」と、あるがままに受け入れれば、あなたは世界の平和大使だよ。あなたの行くところに平和が生まれるのさ。

大切なのは「思いやり」と「分かち合い」だろう。私たちみたいに先進国でなに不自由のない生活をしている人々は少し生活を切り詰めて、途上国で貧困の為まともな生活や教育を受けられない人々の為に何かできるか考えようよ。それで思い出すのは昨年ノーベル平和賞を取ったマララさんの言葉:「世界で使っている戦費の8日分で、世界中の女性が一年間教育を受けられる」ということ。教育は人に希望と夢をもたらすのさ。だから、何にも増して大切だよね、特に女性にとってはね。

もう殺し合いは止めようよ。憎しみもテロも止めようよ。世界中の若い人たちに「生き甲斐」をもたせ、職を創りだし、それぞれが脅かされずに生きていける世界を作り出そうよ。案外簡単だよ。やろうよ。皆でその気になればね。

2015年11月18日水曜日

シルクロード緑化活動


  この緑化プロジェクトは、現在、植林だけではなく、現地農民の貧困脱却、女性の地位向上を目指して大きく進歩・成長しつつある。勿論、それは現地責任者の蘇本山氏の夢と実行力が無ければ実行しないことなのだが、それが一歩一歩と実現しているのだ。例えば、三年前に彼が始めた養鶏。今や一万羽の鶏が植林した沙棘の木々の間で元気に育っている。鶏は沙棘の葉や実にあずかり、沙棘は鶏の糞を肥料とするという「相互扶助」の関係が出来ていた。このプロジェクトが高地・寒冷の山間地にあるので鶏インフルエンザとか他の流行病の心配はないという。市場に出した鶏肉と卵は「沙棘鶏」と言うブランドで、消費者の間で評判が良く、普通の三倍の値段で取引されている。蘇氏はこの活動を近く300万羽生産の規模にまで拡大し、農民の生活向上に寄与したいと計画中だ。同様に、彼は高価に取引される漢方薬用の薬草の栽培にも着手し、黒枸杞・紅枸杞など高価で取引される種類の薬草育成に乗り出し、農民たちを教育・指導しているこれも農民たちの貧困脱却を目指した「里山活動」を育てるという試みである。

 蘇氏のこのような試みが今や彼を「有名人」に仕立て上げ、彼の考えや行動に引かれて数多くの人々がこの山奥の荒れ地に集まってきている。今年8月には参加者が多数一堂に会し、現在の活動を祝福し、来るべき年の日中協力活動を祝福してくれた。言い換えれば、このプロジェクトの知名度をもっと中国国内と日本で上げ、大気温暖化防止と貧困撲滅のモデルにしようではないかということだ。

今後、必要なのは「沙棘」の果実を薬品や食料品にする漢方薬製造工場と、沙棘鶏を立派な商品にし、出荷するための工場を設立することで、そのための投資者を探すことと、広大な荒地を緑化するための苗木代の確保である。この夢の膨らむプロジェクトの為に一層の努力をしよう。

そゆ

2015年10月19日月曜日

会員の皆様にご報告

皆様
9月30日のブロッグで報告させて頂きましたように、私たちは中国黄土高原で実施している「シルクロード緑化活動」に3年ぶりにボランティアを派遣し、その結果、胸を張って帰国しました。単なる植林活動が今や「人間開発」に向かって再稼働を始めたと確信したからです。

ところが、10月9日にコスモ石油エコ・カード基金事務局との会合があり、そこで、”私たちが人類の将来の為に素晴らしい”と考えていたこのプロジェクトの将来を暗くするような指針が示されました。つまり、ズバリ言って、来年度からは「中国における活動には支援提供が出来ない」と言うことです。その理由は、コスモ石油エコ・カード基金の資金源はコスモ石油からガソリンを買う人たちが提供する1%の献金ですが、
  1)その会員たちの数が最近目立って減少している、そして、
  2)その14%の人々が中国に対する支援は中止すべきだ、       と言っているので、コスモ石油エコ・カード基金としてはその声を無視できないというものです。

勿論、NPO2050が支援しているプロジェクトは、地球と人類の将来を守るための活動で、中国政府を支援するものではないと説明をいたしましたが、政治的に確信を持っている人たちは簡単にはこちらの説明を聞いてはくれないようで、コスモ石油エコ・カード基金の結論を受け入れることになりました。

以上のような訳で、2016年度及びその後のコスモ石油エコ・カード基金からのこのプロジェクトに対する資金援助は期待できなくなり、私たちとしては至急代わりのスポンサーを探す必要が出てきました。只今、その為の活動を展開しております。皆様のお知り合いで有望な企業又は団体がございましたら、是非ご紹介下さい。同時に、我々のこのプロジェクトは緑化が必要な4万ヘクタール以上の広大な荒地を抱えておりますので、今後精力的に苗木代の為の資金集めをしなければなりません。そのような訳で今後様々な報告やお願いを差し上げることになりますので、どうぞ、ご理解とご協力をお願いもうしあげます。


 

2015年8月30日日曜日


コスモ石油エコカード基金の支援を得て、地球規模問題(大気温暖化)解消の一手段として2002年に始められたこの「シルクロード緑化活動」も既にティーンエージャーとなってすくすくと育ち、いよいよ頼りになる「大人」の活動に入ってきている。                        

2年間の中断の後、私たちは植林活動を本年に再開し、816日から21日まで甘粛省蘭州市永登県下古山村と言う人里離れた山中で、一行9名、様々な素晴らしい体験をしてきた。21日と22日は陝西省の西安において孫若桓2050中国代表に会ってきた。孫若桓氏は今年99歳、あと数ヶ月で100歳になるところだが、最近急に老衰の症状が現れ、今や寝たきりの状態になってしまった。21日と22日にお見舞いをし、回復のお祈りをすることが出来たのがせめてもの慰めであった。

 蘭州では、現地責任者である蘇本山氏が2050のボランティアによる植林活動再開を喜び、彼らが現在「幸福家園」と呼び、推進しているプロジェクトの緑化活動努力、地域農民の生活向上努力、日中友好精神を讃えるための式典を18日に挙行した。それに参加したのは、日本からの私たちに加えて、中国の広東省、北京、香港などと多くの場所からの著名人たちであった。特に私が強い印象を受けたのが、女性の地向上のために中央政府の非営利活動を受け持っている「中国人口福利基金会」の元総裁、苗霞女士と現副秘書長の兪華女士が参加したことであった。ご存知のように、中国人口福利基金会は2006年から尖閣諸島問題が発生するまでは、2050のカウンターパートとして甘粛省おける緑化活動に全面的に協力し、様々な便宜を図ってくれていた。尖閣問題が発生してからは政治的な理由で日中協力に腰が引けていたのが、ここでこの式典に参加したということは中国共産党の対日政策が「良い方向に」変わりつつあるのではないかとの期待感を私に持たせてくれるものであった。

 今回の訪問で参加者全員がはっきりと感じたのは、上述したように、人類の将来の為に大気温暖化防止を目的として、コスモ・エコカード基金の支援により開始されたこのささやかな緑化活動が今やその初期の目的を達成したのみならず、中国の国内や国際機関からの支援も獲得し、貧困撲滅と女性の開発主流への参加をも可能にしたということである。つまり、蘇本山氏はこの3年間に、緑化を進展させていることに加えて、地元農民たちが少しでも生活が楽になるようにと思い計り、新しい活動を計画し、農民を教育・支援し、連中に夢と希望、更には自立の途をも与え始めているということである。そして、その予期せぬ効果は日中友好精神の促進と中国国内におけるこのプロジェクトの知名度が上がったこと、つまり、このプロジェクトが中国国内で「素晴らしいモデルだ」と言う評価を受けつつあるということである。

 彼は、この人里離れた高山・寒冷地の植林の為に選んでいる「沙棘」の木々間に鶏を1万羽飼い、鶏に沙棘の葉と実を食べさせ、沙棘には鳥の糞を肥料として利用するという見事な相関関係を創出している。今やその鶏の卵と肉が「沙棘鶏」として巷で高く評価されるようになっていた。中国、特に、蘭州では、健康で美味であると他の鶏肉の3倍位の値で商品化されつつあるとのことである。将来的にはその規模を3年間に300万羽まで増やすことを考えている。それだけの規模の養鶏になると鶏インフルエンザや他のウイルス性の病気が心配だが、それは、養鶏の場所が「高所・寒冷の地」であるので先ず心配ないそうである。更に、彼が別に推進しているのが漢方の薬草園の経営で、黒枸杞・紅枸杞と言った高値で取引される薬草を育て、農民を訓練して、将来的に連中の貧困削減・生活向上に役立てようという配慮である。これらの活動の為か、蘇本山氏の知名度が国内で高まり、中国中から支援者が現れ始めていることを察することが出来た。

 一番近い人里はプロジェクトから車で15分位下ったところにある。プロジェクトで採用された農民たち(女性)はそこを歩くか、自転車で通ってくる。彼女たち(男性の殆どは都会に出稼ぎに行っている)の集落は貧困の兆しが目立つのだが、今回、農民たちが、一晩夕食を共にし、花火を打ち上げ、爆竹を鳴らして私たちを大歓迎してくれた。そこには歌あり、踊りありで、まさに人類愛の発露であり、政治的な判断の全く入らない「お付き合い」と感謝の集いであった。

 以上のように、私たちは大歓迎を受け、日中友好の手応えをはっきりと感じ、蘇本山氏の判断と活動の正しさを認識し、このプロジェクトの将来を伺い知ることが出来た。そして、それが日本からの参加者9名に笑顔と安心感をもたらした。このプロジェクトが今後必要とするものは、年2500トン以上採れるようになった沙棘の実を加工する工場と漢方の薬品工場がプロジェクト内に設立されることとで、その為の出資者を探すことである。そして、このプロジェクトが如何に素晴らしい成果を上げつつあるかと言うことを日本国民に知ってもらい、エコカード基金が世界の大気温暖化防止、貧困削減、女性の地位向上のための努力に大変なインパクト与えたと事実を皆と共有することである。

 更に一言付け加えるとすれば、私たち参加者全員が今回の中国訪問によって世界平和構築の心得とかお互いの思いやりが人類の幸福の為にいかに大切かと言うことを実地に学ぶことが出来たということで、今後も若い人に呼び掛けて私たちのシルクロード緑化活動を推進しようと心に決めたことである。