2011年1月19日水曜日

国連平和維持活動について


 年末から新年にかけてニューヨークで過ごしてきた。その間、国際社会での日本の貢献度、それに対して日本政府が受けている評価、国連の平和維持活動に対する協力など、関係各位と話し合う機会を持った。
 国連平和維持活動(PKO)については、ズバリ言って、日本の積極的な関与が期待されている。ここ数年来、自衛隊派遣や後方支援などは、その活動の範囲も数も増えてきてはいるが、日本は国際社会の期待に十分に応えているとは言い難いようである。
 自衛隊の派遣には「国連平和維持活動等に対する協力に関する法律(法律第79号)」によって規制されている。更に、憲法9条に抵触するのではないか、派遣した人の人命に対する危険はないかなどの考えが絶えず見え隠れしている。そして、それが日本の国連平和維持活動に対する協力を及び腰にしていることは否めない。
 最近では、国連平和維持活動はアフリカで展開されることが多い。それも、道路網が発達せず、空港も鉄道も整備されていないような場所や国である。一旦火の手が上がったら国連平和維持部隊は速やかに活動を展開することが要求されるが、そのような場所では車も鉄道も航空機も役立たずである。唯一役立つのは、そして、不足しているのは、国連平和維持部隊が迅速に行動できるためのヘリコプターということである。何故に国連平和維持部隊にはヘリコプターが少ないかというと、平和維持部隊を国連に派遣しているのは多くの場合開発途上国の政府で、兵隊は派遣してもヘリコプターまでは手が回らないというのが現状である。それが国連平和維持活動の十分な、迅速な活動の妨げになっているとのことである。
 そこで考えられるのは、日本が国連平和維持活動に対してヘリコプターを提供することで、国連平和維持部隊の活動を助け、多くの人命を未然に救うとことである。ヘリコプターを提供することは「物資協力」であり、自衛隊を派遣するのとは訳が違う。武器を輸出することでもない。日本人の人命を損なうこともない。その上、国連加盟国から感謝され、称賛されることは間違いない。
 日本の繁栄にとって、国民の将来にとって、世界平和は必須の条件であり、国連平和維持活動に協力するのは世界でも有数な富裕国、日本にとって「なすべきこと、せざるを得ないこと」である。それ故、今一番求められているヘリコプターを供与又は貸与するのは時宜を得ているし、国民にとっても素直に納得できるものであろう。国民の皆さんと関係者の前向きな考慮を願うものである。