2012年3月12日月曜日

3月8日とは何の日でしょう?

毎年3月8日は国連の定めている「国際女性の日」です。国際女性といっても、これは国際的に活躍している女性たちを称えるために設けられた日ではありません。世界中の女性が例外なく受けている様々な不当な処遇や差別を考慮して、少しでも、女性たちが人間として持って生まれた人権や人格・尊厳が尊重されるように、また、少しでも健康に過ごせるようにお互いに思いやりをかけ、最大の努力を持って助け合いましょうと問いかける日であります。


世界の女性は三つのグループに大別出来ると思います。第一のグループは、貧困や因習の為に、極端に惨めな立場に置かれている女性たち。学校に行かせてもらえない、読み書きが出来ず、人との意思疎通もままならない、家庭内でも地域社会でも発言権がなく、いつでも無視されている、男性たちからはセックスの対象や子どもをつくるための道具としか扱われていない、お産をするに当たってもお医者さんはおろかお産婆さんなどにも無縁である、というような運命におかれ、社会の片隅で声をあげることも出来ず涙にくれている人たちです。これらの殆どの女性は途上国に住んでいます。

第二のグループは、第一のグループの女性たちのために日夜奔走する女性たち。途上国で、又、途上国に出かけて行って、自分のことはさておいて、貧困女性の為に一肌も二肌もぬぎ、教育、保健、地位向上などの分野で活躍している人たちです。この人たちは概して人類愛に満ち、資金は十分にないけれど「気の毒な女性たち」の為に何かしなければという使命感にあふれている人たちです。このグループに属している人たちはごく少数です。

第三のグループは世界の殆どの女性たちです。愛情濃やかで自分の子どもや家族の幸福のために努力を惜しまない人たち。まず、人間としてまともな生活をエンジョイしています。教育も受け、経済的にも余り心配ありません。気の毒な人たちの話を聞けば涙を流し、請われれば支援の手を伸ばす人たちです。ただ、このグル-プの人たちには第二のグループの女性たちの持っている「使命感」は期待できません。なぜならば、女性は命を与え、育むことが運命づけられていますから、どうしても視線は自分の子どもや家族に向いてしまい勝ちだからです。

世界人口の半分は女性です。今「世界が荒れている、環境は改善されない、食糧が不足してきている、エネルギー不足が心配だ、世界人口は70億人を超えた」などと言われています。実際、世界を見ていると、グローバル経済のもと、生活は表面上向上しているように見えるかも知れませんが、一皮むけば、様々な矛盾が見えてきます。特に目立つのが、女性に対する差別です。これが、現在の世界の問題と矛盾の原点ではないでしょうか?女性が政治、経済、社会各方面で活躍できない、いや、差別されていることが一番の問題です。世界が平和であり、人々が安心して生活出来る為には、女性の声が的確に政治、経済、社会に反映されなければなりません。女性たちが発言しないと世界は現状維持です。いや、少しずつ後退して行くでしょう。どうしたら、世界は少しでも平和に、男女平等に向かうのでしょうか?どうしたら、途上国の貧困女性がお産で死なずに済めるでしょうか?少しでも多くの女性たちが政治、経済、社会の指導者になるためにはどうしたら良いのでしょうか?是非皆さんのお知恵を拝借したいと思います。

さて、貴女は上記3グループのどれに属するのでしょうか?私たち2050は、世界が平和であるためには女性が中心になるべきだ、そのための努力をしようという大原則を打ち立てました。数多い手段の中から「まずこれを!」ということで、途上国の貧困家庭の子女が等しく教育を受けられるよう「ニコニコ奨学基金」を設立し、南西アジア5カ国で、僅かながら、奨学金を付与して教育の機会を与える努力をしてきました。会員の方々の浄財や寄付によって毎年100名近くの女性たちが通学可能となり、もうすでに相当数の女性たちが学校を卒業して実社会で活躍を始め、気の毒な女性たちの為に救いの手を差し伸ばしています。

ただ問題は、最近、特に、昨年の東日本大震災によって、人々の心が東北地方にそそがれ、日本人の思いやりが途上国の女性に余り届かなくなってしまったことです。たとえば、いままで2050の大口のスポンサーであったJX日鉱日石金属株式会社が「ニコニコ奨学基金」に対する支援を今年限りで打ち切ると通告してきました。そのため、毎年250万円ほど途上国女性の支援をしているこのニコニコ奨学金がたちまち干上がるという状態に直面しています。これから奨学金募金の為のキャンペーンを展開していくつもりですが、いつまで継続出来るか心もとない始末です。

これが現在の、また、これからの日本の国際協力のあり方を示すものであれば、世界の大多数の女性の運命は非常に暗いものと言えましょう。世界平和も男女平等も実現不可能でしょう。ただ私たちも絶望しているわけにはいきませんので、ここは日本の女性たちの善意と思いやりによって、何とか途上国で苦吟している女性たちの為に何とかしなければという気になっています。どうぞ、皆様のお知恵を拝借して一緒に世界を少しでも明るいものに致しましょう。どうぞ、途上国貧困子女を救済するシンボルである「ニコニコ奨学基金」が継続できるよう皆さまの温かいご支援をお願いいたします。