2015年8月30日日曜日


コスモ石油エコカード基金の支援を得て、地球規模問題(大気温暖化)解消の一手段として2002年に始められたこの「シルクロード緑化活動」も既にティーンエージャーとなってすくすくと育ち、いよいよ頼りになる「大人」の活動に入ってきている。                        

2年間の中断の後、私たちは植林活動を本年に再開し、816日から21日まで甘粛省蘭州市永登県下古山村と言う人里離れた山中で、一行9名、様々な素晴らしい体験をしてきた。21日と22日は陝西省の西安において孫若桓2050中国代表に会ってきた。孫若桓氏は今年99歳、あと数ヶ月で100歳になるところだが、最近急に老衰の症状が現れ、今や寝たきりの状態になってしまった。21日と22日にお見舞いをし、回復のお祈りをすることが出来たのがせめてもの慰めであった。

 蘭州では、現地責任者である蘇本山氏が2050のボランティアによる植林活動再開を喜び、彼らが現在「幸福家園」と呼び、推進しているプロジェクトの緑化活動努力、地域農民の生活向上努力、日中友好精神を讃えるための式典を18日に挙行した。それに参加したのは、日本からの私たちに加えて、中国の広東省、北京、香港などと多くの場所からの著名人たちであった。特に私が強い印象を受けたのが、女性の地向上のために中央政府の非営利活動を受け持っている「中国人口福利基金会」の元総裁、苗霞女士と現副秘書長の兪華女士が参加したことであった。ご存知のように、中国人口福利基金会は2006年から尖閣諸島問題が発生するまでは、2050のカウンターパートとして甘粛省おける緑化活動に全面的に協力し、様々な便宜を図ってくれていた。尖閣問題が発生してからは政治的な理由で日中協力に腰が引けていたのが、ここでこの式典に参加したということは中国共産党の対日政策が「良い方向に」変わりつつあるのではないかとの期待感を私に持たせてくれるものであった。

 今回の訪問で参加者全員がはっきりと感じたのは、上述したように、人類の将来の為に大気温暖化防止を目的として、コスモ・エコカード基金の支援により開始されたこのささやかな緑化活動が今やその初期の目的を達成したのみならず、中国の国内や国際機関からの支援も獲得し、貧困撲滅と女性の開発主流への参加をも可能にしたということである。つまり、蘇本山氏はこの3年間に、緑化を進展させていることに加えて、地元農民たちが少しでも生活が楽になるようにと思い計り、新しい活動を計画し、農民を教育・支援し、連中に夢と希望、更には自立の途をも与え始めているということである。そして、その予期せぬ効果は日中友好精神の促進と中国国内におけるこのプロジェクトの知名度が上がったこと、つまり、このプロジェクトが中国国内で「素晴らしいモデルだ」と言う評価を受けつつあるということである。

 彼は、この人里離れた高山・寒冷地の植林の為に選んでいる「沙棘」の木々間に鶏を1万羽飼い、鶏に沙棘の葉と実を食べさせ、沙棘には鳥の糞を肥料として利用するという見事な相関関係を創出している。今やその鶏の卵と肉が「沙棘鶏」として巷で高く評価されるようになっていた。中国、特に、蘭州では、健康で美味であると他の鶏肉の3倍位の値で商品化されつつあるとのことである。将来的にはその規模を3年間に300万羽まで増やすことを考えている。それだけの規模の養鶏になると鶏インフルエンザや他のウイルス性の病気が心配だが、それは、養鶏の場所が「高所・寒冷の地」であるので先ず心配ないそうである。更に、彼が別に推進しているのが漢方の薬草園の経営で、黒枸杞・紅枸杞と言った高値で取引される薬草を育て、農民を訓練して、将来的に連中の貧困削減・生活向上に役立てようという配慮である。これらの活動の為か、蘇本山氏の知名度が国内で高まり、中国中から支援者が現れ始めていることを察することが出来た。

 一番近い人里はプロジェクトから車で15分位下ったところにある。プロジェクトで採用された農民たち(女性)はそこを歩くか、自転車で通ってくる。彼女たち(男性の殆どは都会に出稼ぎに行っている)の集落は貧困の兆しが目立つのだが、今回、農民たちが、一晩夕食を共にし、花火を打ち上げ、爆竹を鳴らして私たちを大歓迎してくれた。そこには歌あり、踊りありで、まさに人類愛の発露であり、政治的な判断の全く入らない「お付き合い」と感謝の集いであった。

 以上のように、私たちは大歓迎を受け、日中友好の手応えをはっきりと感じ、蘇本山氏の判断と活動の正しさを認識し、このプロジェクトの将来を伺い知ることが出来た。そして、それが日本からの参加者9名に笑顔と安心感をもたらした。このプロジェクトが今後必要とするものは、年2500トン以上採れるようになった沙棘の実を加工する工場と漢方の薬品工場がプロジェクト内に設立されることとで、その為の出資者を探すことである。そして、このプロジェクトが如何に素晴らしい成果を上げつつあるかと言うことを日本国民に知ってもらい、エコカード基金が世界の大気温暖化防止、貧困削減、女性の地位向上のための努力に大変なインパクト与えたと事実を皆と共有することである。

 更に一言付け加えるとすれば、私たち参加者全員が今回の中国訪問によって世界平和構築の心得とかお互いの思いやりが人類の幸福の為にいかに大切かと言うことを実地に学ぶことが出来たということで、今後も若い人に呼び掛けて私たちのシルクロード緑化活動を推進しようと心に決めたことである。
 
 
 
 
 
 
 
 

2015年8月12日水曜日

私は最近岐阜県の恵那市で講演をする機会を頂いた。スポンサーをして下さったのは田中義人さん。東海神栄電子工業株式会社の社長さんである。

恵那と言うところは風光明美で、温泉があり、珍しいご馳走を食べることのできる料理屋も多数ある素適な場所である。特に、うどん・そばの美味しいこと。

でも、何にもまして感銘を受けたのは田中義人さんと彼のご家族の持つ雰囲気、考え方、生き方で、その謙虚で思いやりに満ちた生活には頭の下がるものである。彼らは環境保全の為に無駄をしない。家を建てるに際しても古民家にある家具や建材を立派に且つ芸術的に再利用している。彼の会社の社員や市民たちが健康に、楽しく暮らせるように、命を育んでくれる食品を提供している。そして、「日本を美しくする会」と言う団体を導いて、日本中の公衆便所や汚れたところをピカピカに掃除し、磨いて、誰でもが嬉しくなるような雰囲気を作り、携わった人々が生き甲斐を感じ、楽しい人生を送ることができるよう奉仕している。そして今では台湾、インドやブルガリアまで出向いてその奉仕活動を地球規模で行っている。


田中さん一家の方々と会話を交わしていると、それぞれの方が謙虚で、周りの人々に対して自分の価値観や判断を押し付けない、お互いの長所と良い点を見て助け合う、そして、社会の為に自分の出来ることを提供するという感じを受ける。その為、彼らのもたらす雰囲気はまさに私の推進する「平和構築」である上に、人々に安心と生き方とはかくあるべきかと言う指針を与えてくれる。
 こういう素晴らしい




ご一家と知り合いになれたこと、誠に感謝の極みである。