2012年2月1日水曜日

文化について



私たちがいろいろな問題について議論をしたり、対策を練ったりする場合、「文化」というものが大きな問題として立ちはだかることがままある。特にそれがいろいろな国の人びとのための国連あたりでの議論であっても、政府代表の中には自説を曲げず、自国の国益追求に夢中になっているケースを良く見かける。世界の為、環境の為、女性の為というよりは、目先の問題を自分たちが慣れ親しんでいる考え方で判断をし、たとえそれが建設的なものであっても自説にそぐわない意見を切り捨てることが多い。そして、そういう場合「伝統」であるとか「社会秩序」などという大義名分で自分たちの主張を正当化している。 そもそも「文化」とはある地方に住む人たちやグループが自分たちの間で、自分たちに都合のよい約束事を作り上げて、それを守るという行動である。そしてその約束事を守らない人々を反社会的だとして村八分にしてしまうことも良く見かける。これが一方では人間に保守性を与え、他方では違う意見に対して排他性を持たせる。 昔のようにそれぞれの地方や部落がお互いに交流せず、ひっそりと人々が暮らしている場合、それほど問題は目立たない。ところが、最近の様に地球規模問題がわれわれの生活を脅かし、立場が違う人種、性、生活様式、文化が世界的に解決を求めてくると、我々は戸惑い、問題の解決を先延ばしにしてしまう。現代の世界は目まぐるしく変化し、新しい問題を生み出し、新しい解決法を求めてくる。今までの常識や文化では対応できない。今我々に求められているのは、我々が安住してきた文化に基づく判断や行動ではなく、全く新しい考え方、行動であり、生活様式であろう。 女性問題を取り上げてみよう。正直言って、女性は生まれる前から世界中で差別されている。非常に多くの国や人種によっては、女性は男性に比べて不当な不利益を被っている ― 女児の妊娠中絶、就学や衛生面での差別、女性の性器切除、社会における発言権不在や差別など数えだすときりがない。これらの問題解決に当たって問題となるのが男子の考えかたと行動、すなわち「文化」である。女性はかくあるべきだ、という既成概念が非常に多くの男性たちを支配している。また多くの女性がそのような伝統的な文化を当然として受け入れている。このような状態が現代世界の矛盾と問題を増幅しているのだ。 現代の問題はわたしたちの発想や行動規範の根本的な転換を求めているのだ。私たちが作りだした問題は今や伝統的な文化や考え方では制御できなくなっている。私たちはその解決法をいわゆる「専門家」に任せて、官僚や企業家が問題解決計るべきだという思考形式を改めなければならない。言い換えれば、現在の地球規模問題はわれわれが作りだしたものであるので、それらを解決するのには、我々一人ひとりが真剣になって問題の本質にせまり、思い切った斬新な行動を起こさなければならない。一般国民はもっと勉強して問題の本質にせまらなければならない、そして一歩も二歩も踏み出して、長い目で将来を考え、自分たちの子や孫が将来どのような生活を強いられるのかという観点から解決策を打ち出して行かなければならない。目先の都合や、解決するのに一寸お金がかかりすぎる、面倒くさいなどという問題はいったん脇に置いて、長期的な解決策を打ち出して行かなければならない。福島原発の大事故の後を受けて、日本で今後原発を維持推進すべきか否かなどの議論は、国民全部が真剣になって考え、将来を見据えたものでなければならない。もう一つ気になるものに、女系宮家の創設に関する議論がある。そこで声高に語られる「伝統」だから女系宮家創設に反対だとか、かくあるべきだなどという主張は願い下げをお願いしたいものである。 世の中の多くのご主人たちは様々な企業、グループ、団体に属していて、それらの「文化」にがんじがらめになっている。つまり、自分の個人的な意見を中々主張できない。そのため、日本では物事がすんなりと決まらない、進行しないという現象が良くみられる。社会正義や常識的な議論が文化に基づく考え方によっていとも簡単に捨て去られてしまう。そして、後に残るのは庶民の感ずる「やるせなさ」であり、無力感である。こういう状態を解決しないと、この国はずるずると国際的な指導力も尊敬も失ってしまう。そしてその現象はすでに明白になりつつある。 日本がかっての様に自信を持って世界の為に、人類の将来の為に活躍しなければ世界平和は永久に訪れない。日本が立ち上らなければ私たちの子や孫の世界は希望のないものでなってしまう。そうならない為には、男性たちの「文化」に振り回されずに、女性, 母親たちの意見が尊重されなければならない。自分の子どもたちが平安であって欲しいと願うのはどの母親にとっても切実な願いである。そういう世界を実現させよう。女性、お母さん一人ひとりに少しでもそういう建設的な関与を願いたいものである。

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