近年の日本の気候は「異常」と決めつけてもおかしくない状態である。世界各地でもここ数年にわたり大災害が報道されている。最近ではアメリカ東部のニュージャージー州とニューヨーク州でハリケーンによる大災害が報道されたばかりである。大気の温度が徐々に、そして、確実に上昇している。北極の氷の層は薄くなり、その範囲もせまくなっている。世界各地の氷河も氷山も融解の速度を増している。海水の温度が上がり、暖流が広がっている。その結果として、異常気象が世界各地で起こり、干ばつや水害、突風、山火事が日常茶飯事となり、人命が、自然環境が損なわれている。今や気候変動が現実のものとして我々の喉元に突きつけられている。
この気候変動の原因は人間の経済活動だと決めつけることができる。少しでも豊かになろう、利潤を最大にしよう、安楽な生活をしようと、産業革命以来努力してきた結果であり、そのために払わなければならない代償なのだ。化石燃料の使い過ぎでしかない。だが、人間は「まだよ、まだよ」とか「他に方法があるの?」と呟きながら、生活を、産業を、生産方法を変えようとしない。そして、世界の終末に向かってまっしぐらに突き進んでいく。
東京大学の山本良一教授によれば、産業革命以前にくらべて、大気の気温が1.5~2.0度C上昇すれば地球は危険状態になるという。現在もうすでに0.8度上昇しているのだ。1.5度上昇すればインド洋のさんご礁が死滅し、グリーンランド氷床の全面的融解が始まるとのこと。2.0度で海面上昇が観測され、サイクロン、台風、ハリケーンが多発。結果として1200万~2600万人が難民となり、 10-28億人が水ストレスに悩むことになる。そして世界のさんご礁の97%が死滅。食糧不足と世界的な飢餓が同時に発生する。今すぐ大気温暖化ガスの放出を止めても、気温は後0.5度上がる。更にその後0.5度はあがるだろうと言われている。すると、我々は遠からず1.8~2.0度の上昇は覚悟しなければなるまい。
いま地球は自然界から最後通告を突きつけられていると言っても言い過ぎではあるまい。「生活や生産方法を根本的に変えるのか、それとも、今まで通りの生活ややり方でこの困難を乗り切るつもりなのか?」、ということだ。今我々が覚悟を決めて「生き方」や化石燃料への全面的な依存をすっかり改めなければ、遠からぬ将来に世界は食糧危機に直面するだろう。世界各地で頻発する干ばつや水害のため食糧生産は阻害され、僅かにとれる穀物はエネルギーと食糧の間で綱引きされ、価格は急上昇するだろう。結果としては、途上国貧困層における飢死急増または飢餓の蔓延ということになる。先進国でもエネルギーと穀物の価格が天井知らずとなり、生活に窮乏する人が増えるだろう。
大気温暖化の元凶、二酸化炭素は現在のところ海と森林に吸収されている。ただ問題は2050年ころまでには、海は二酸化炭素の量が増えすぎて吸収の能力が低下してしまうとのこと。更に森林は、土壌はそれを吸収するより放出しだすであろうと予告されている。従って、我々は今直ぐ二酸化炭素排出量を80%削減しなければならない。そしてこれは我々の子や孫たちの生死に関る問題であり、覚悟を決めて、国を挙げて、対処しなければならない問題なのだ。
まず、日本の首相は国際社会で世界を救う為に思い切った提言をし、そして、他国に先駆けて日本がその提言を実施する決意を表明すべきである。今の政治の在り方では、誰も日本を相手にしてくれなければ信用もしてくれないと知るべきだ。
地方自治体の首長ははっきりとした地球温暖化を止めるための指針を示し、各公共機関には太陽熱発電のパネルを設置することを義務とすべきだ。公用自動車は全部ハイブリッド・電動に切り替える。企業の経営者はあらゆる事業所におけるエネルギー節約と車、その他の車両による燃料使用量削減を打ち出し、エコ・イノベーションを表明すべきだ。同時に水素燃料の開発に力を入れるべきである。学者、有識者、市民組織の代表は市民の意識改革に責任を持ち、啓発に努める要がある。今や個人の不便を理由に環境改善に反対すべきではない。
今必要なのは言い訳ではない、将来を守るための行動なのだ。
どうだろう、日本政府はあなた方の将来を本気で守ってくれるのだろうか?
政界の、財界の指導者たちには本気で国民の将来と命を守ろうという気概が見られない。政府が本気でやらないのなら、市民がやるしかない。市民が、特に、青年が人に先駆けて行動を起こさなければ、後に続く世代に顔向けができまい。私達の生活と経済活動が引き起こした大気温暖化は市民一人ひとりの問題だ。市民が、若者が、学生が真っ先に取り上げるべき問題だ。必要なのは「既成概念大転換」と言うことである。考える土台、チャンネルをまったく変えるということだ。今までの考え方を一寸だけ変えることではない。今や「非常時」なのだ。立ち上がる時が来ている。環境革命を起こさなければならないのだ。
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