2012年8月1日水曜日

いのち 6

若し貴女のご両親が「うちは貧乏な上に、貴女は女の子なんだから」という理由で、学校へ行くこと、お医者さんにかかること、ご飯を男の兄弟と一緒に十分に食べることなどを否定した場合、貴女はどう感じますでしょうか?また貴女はどの様な人生を送ることを許されていると思いますか?貴女はたいていの場合、家庭内の男性の意思に振り回され、栄養不良で発育不全、人間としての存在を否定されるような経験を強いられるでしょう。先ず、読み書きのできない、自分の意思をはっきり述べることの出来ない半人前の存在で、水汲み、炊事、洗濯、家畜の世話などに従事し、長ずるに従って男性から「子どもを産む道具」としか認められない人生を送ることになるでしょう。そこには人間としての尊厳も基本的人権もありません。自由意思も許されません。5-6歳くらいから踊りを習わさられ人前で踊ることを強要されたり、売春をさせられたり、時には借金のかたとして歓楽街に売り飛ばされることも良くあります。


 アフリカ大陸あたりですと、戦争がおこり一国の軍隊が攻め込んできますと、戦略として、その土地の女性たちを兵士たちが片端から凌辱することが良くあります。また、女性性器削除や家庭内での「名誉殺人」、胎児が女性と判明した場合の中絶などなど、女性を標的にした男性からの不平等な仕打ちは数限りなくあります。この分では女性の命はいくつあっても足りません。

 現在、世界では2分ごとに一人の女性が妊娠・出産に関した疾病で亡くなっています。これは妊産婦が誰でも医療の恩恵に預かれば避けられることです。ですが、それが難しいのです。理由は?僻地に住む貧乏な女性の命を守ろうという政治的な決意が為政者(男性)の間に欠けているからです。先進国に住む私たちに、途上国貧困女性たちの運命に対する関心と思いやりの精神が欠けているからです。

 上に述べたことは南アジアからアフリカにかけて日常見聞できることのほんの一部です。日本の様に社会開発が進み、教育や保健制度の発達した国では想像もつかないようなことがまだまだ世界の女性の健康と命を脅かしています。私たち日本人が途上国の女性たちの為に出来る最低の事は、少なくとも、彼女たちが天命を全うすることができるようお手伝いすることではないでしょうか?日本が戦後社会開発を成し遂げたその教訓や経験を途上国の支援に役立てましょう。途上国の女性たちが新しいいのちを産むために自分の命をなくすことがないようにお手伝いをしましょう。そのためには、日本は国際社会で指導的な立場をとり、家族計画・リプロダクティブ・ヘルスの普及を図り、そのための国際支援を増額すべきではないでしょうか。日本の経済力から考えると僅かなお金で世界中の女性の命が救えるようになるのです。

 世界が平和になるためには、世界中のいのちが育まれ、人為的な理由や不作為によって人命が損なわれることがないということが大前提となります。具体的には世界中の女性が健康で、不平等や不合理に悩まされる事がなく、健全ないのちを産み、育むことの出来るということです。そして、家庭内で、地域社会で、子どもたちにお互いに愛すること、思いやりの精神を持つことを教えることでしょう。そのために、今必要なのは、女性に対する偏見や不平等を撤廃し、恵まれない女性たちに支援が行きとどく世界を作ることです。また、女性の声が世界の政治や経済で尊重され、政策に反映されることです。日本の国民と政府はかっての様に国際社会で音頭取りをしましょう。途上国の貧しい、恵まれない女性たちのいのちを救うためにODAを増額しましょう。そして、子どもたちの将来が安泰であるよう、世界中で殺しがなくなり、女性が不当な扱いを受けない社会を築くよう、皆で一歩踏み出しましょう。







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