2008年9月16日火曜日

有機農法について




今年の8月末、アメリカ ペンシルバニア州にあるローデル・インスティテユートを訪問する機会を得た。ここは長年にわたって有機農法や不耕起農法を実践し、化学肥料・農薬を使わぬ有機農法と、使った在来の農法を同時に比較研究もしている。そこで目にするのは、有機農法による作物は、化学肥料や農薬を使ったものより、はるかに生命力があることである。土地が肥えている、炭素分そして水分の取り込む量も多いということである。
 大気温暖化が止まることなく進行し、石油の枯渇が語られ、化石燃料の値段や食糧の価格が高騰してくると、化石燃料依存の現代農法には限界が見えてくる。農業のみならず、貯蔵も、流通も、販売も化石燃料依存体質から脱皮しなければ将来がないといえよう。
 そうなると、私たち一般市民が心得なければいけないことは、これからは、有機農業の時代になる、いや、ならざるを得ないということである。更に、「地産地消」ということである。有機農法による作物は値段が高いから敬遠するというのは通用しなくなる。何故なら、今のままでは、穀物も野菜も石油の値段に引きずられて高値を付けていくことになるからである。有機農法による作物は「いのち」を与えてくれる。消費者はより健康になる。地産地消は運送に、販売に、ガソリンの消費が少なくて済むという利点がある。そして、何としても、二酸化炭素削減に寄与する。
 今のままでは、遠からず、異常気象や穀物の燃料への転用、「利益の拡大」に追い立てられる人心の荒廃などで、世界的な水不足、穀物価格高騰が訪れよう。途上国の貧困層では餓死する人が出るであろうし、国際社会では、先進国に更なる国際支援を要請するであろう。我々消費者も家庭菜園などで有機農法を実践し、有事に備える必要があろう。

2008年6月20日金曜日

脱化石燃料社会

 大気温暖化が日常語となった。先月の横浜会議における福田首相の活躍によって、日本もアフリカ開発支援と大気温暖化防止にようやく本腰を入れて取り組むかのように見える。あと数日で洞爺湖G-8会合を迎える。そこでの大きな議題は言うまでもなく大気温暖化である。
 大気温暖化とは、単に大気の温度が上がって異常気象を世界中でもたらすことだと受け取っていると、禍根を後世に残すことになる。世間では大気温暖化のもたらす諸問題を比較的安易に受け取っているのではなかろうか? それは淡水不足、干ばつ、食糧難、水害、デルタ地帯の水没、環境難民の大発生、生物種の絶滅などを意味するのであって、私たちの子どもや孫の生命の安全を脅かすものであると明記したい。今すぐに脱化石燃料社会への布石をしないと、私たちは子や孫に合わせる顔がなくなる。そして、私たちが取るべき手段は思い切ったものでなければならない。
 6月18日の日経新聞の報道によれば、フランス政府は「温暖化ガス排出を大幅に削減するための包括的対策に乗り出す」そうである。つまり、「2020年以降に建設する一般住宅を含むすべての建物に太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電装置の設置を義務付けるほか、同年をメドに石油、石炭など化石燃料の発電所での使用を事実上ゼロにする」というのである。そして、洞爺湖サミットで、地球温暖化の国際交渉で主導権を握る考えであるそうだ。
 洞爺湖サミット主催国日本の国民は大気温暖化防止のために、何をする覚悟があるのだろうか?相変わらず、サマータイムはいやだ、炭素税導入や二酸化炭素排出量取引は慎重にという様な議論に捉われて解決先延ばしをするのだろうか。今や問題は企業の利益が減るとか、経済の活性化が妨げられるというような問題ではない。子や孫の命に関わる問題なのだ。危機感をもって地球上の全生命の安全に取り組むという視点で対処すべき問題なのだ。国民や経済界が目先の問題のみにこだわり、子どもや孫たちの生命の安全を後回しにするとなれば、ここは日本の総理大臣が英断を下すべき時である。フランスの一歩も二歩も先を行く大気温暖化対策を打ち出し、世界の政治指導者としての福田さんの叡智と決断に期待したいものである。

2008年5月23日金曜日

大気温暖化について




 国連IPCCは「大気温暖化は人間の活動によって引き起こされ、悪化している」と述べ、元米国副大統領のアル・ゴア氏は迫り来る危機に警鐘をならし、様々な対策を提案している。そして両者とも2007年度のノーベル平和賞を授与されている。 しかし、私たち日本国民はその深刻さを実感しないが如く、高水準な生活を変えようとせず、なんらの危機感も示すことはない。すべて現状維持である。政府の打つ手は全て生ぬるく、決め手を欠いている。国際社会における討論でも、各国の国益と経済が最優先であって、先進工業国と途上国の間での責任論が声高に論じられ、人類の将来のための抜本的な対策はすべて先送りである。大気温暖化対策に関し、熱っぽい議論が戦わされるのは経済に対する影響であり、忘れ去られているのは、20年後、30年後に人類が直面するに違いない難局である。
 私どもNPO2050では、年3回それぞれ中国で緑化、フィリッピンで女性の自立支援のための活動を展開しているが、現地で実際に見聞し、体験するのは異常気象とそれが人間の生活に与える悪影響である。そして、実感するのは為政者の短期的な視野と無作為である。
 日本は洞爺湖G-8サミットを控えて、議長国としての指導性を発揮して大気温暖化対策を取りまとめようと努力中であるが、新聞の報道などを拝見すると、どうも「決め手を欠く」と言われかねないものばかりである。今、日本の政治指導者に必要なものは、少なくとも50年先を見通す「先見性」と人類の将来を安泰なものにするというビジョンである。過去数年間にわたって、国際社会の潮流に逆らって「ODA減額」を断行した日本はその信頼性を著しく失墜している。往時の信頼を回復するのは容易ではない。したがって、日本はG-8サミットにおいて、世界の将来の為に本気で取り組むという姿勢を明確に打ち出さなければならない。現在の化石燃料依存の経済のあり方を変えぬ限り、大気温暖化問題は悪化し、食糧難、水不足は避けられないことは明白であるので、日本の政治指導者は思い切った解決策を打ち出し、まず自らに課し、その上にODAを大幅に増額して、途上国と共にこの大問題を解決するという態度を明白にすべきである。国民は生活を切り詰め、政府の環境対策に全面的に協力しなければならない。学者や有識者たちは目先の議論のみに捉われることなく長期的な視野を持って国民の啓発に全力を尽くすべきである。人類の将来を安泰なものにするというミッションを明示することが、国際社会での指導性を確立し、信頼を回復する唯一の方法であろう。

2008年2月20日水曜日

ブログを始めました

人並みに自分の考えを発信してみようとブログを始めました。

 明日2月21日にロスアンジェルスに飛び、アメリカの庶民を相手に「大気温暖化」の話をしてきます。
市民レベルでは、大気温暖化といっても、それは政府が対策をとるもの、自分は電気をこまめに消す、水の消費量を抑えるというような発想で終ってしまいます。確かに、一国の指導者がその気になって取り組まないと大気温暖化防止には効果がありませんし、首相や大統領が経済界に気を使っている先進工業国では取り組みに力が入っていません。抜本的な解決策は先送りです。
 IPCCの報告や多数の科学者の発表から、現在の大気温暖化(今や温熱化と言えよう!)は私たち先進国の人々が自分の生活の確立、安楽、老後の安心のために必死になって働いてきた結果であることが明らかです。つまり、私たちは化石燃料をふんだんに使い、大気温暖化ガスを気にせず放出してきたわけです。
 大気温暖化防止のためには市民一人ひとりが石油や石炭の消費を抑える努力をしなければなりません。つまり、今までの生活方法を根本的に変え、食生活を変え、一大決心をすることが求められるわけです(出来るかな?)。 でも、これは親として、豊かさを追求してきた市民として、やらねばならないことです。さもないと後10年足らずで取り返しのない事態を招き、子ども達に合わせる顔がないということになるでしょう。
 こういう論理がアメリカ人に分かってもらえるかしら、でも、言うべきことは言ってやろうと考えながら出かけてきます。                                            北谷勝秀