2008年6月20日金曜日

脱化石燃料社会

 大気温暖化が日常語となった。先月の横浜会議における福田首相の活躍によって、日本もアフリカ開発支援と大気温暖化防止にようやく本腰を入れて取り組むかのように見える。あと数日で洞爺湖G-8会合を迎える。そこでの大きな議題は言うまでもなく大気温暖化である。
 大気温暖化とは、単に大気の温度が上がって異常気象を世界中でもたらすことだと受け取っていると、禍根を後世に残すことになる。世間では大気温暖化のもたらす諸問題を比較的安易に受け取っているのではなかろうか? それは淡水不足、干ばつ、食糧難、水害、デルタ地帯の水没、環境難民の大発生、生物種の絶滅などを意味するのであって、私たちの子どもや孫の生命の安全を脅かすものであると明記したい。今すぐに脱化石燃料社会への布石をしないと、私たちは子や孫に合わせる顔がなくなる。そして、私たちが取るべき手段は思い切ったものでなければならない。
 6月18日の日経新聞の報道によれば、フランス政府は「温暖化ガス排出を大幅に削減するための包括的対策に乗り出す」そうである。つまり、「2020年以降に建設する一般住宅を含むすべての建物に太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電装置の設置を義務付けるほか、同年をメドに石油、石炭など化石燃料の発電所での使用を事実上ゼロにする」というのである。そして、洞爺湖サミットで、地球温暖化の国際交渉で主導権を握る考えであるそうだ。
 洞爺湖サミット主催国日本の国民は大気温暖化防止のために、何をする覚悟があるのだろうか?相変わらず、サマータイムはいやだ、炭素税導入や二酸化炭素排出量取引は慎重にという様な議論に捉われて解決先延ばしをするのだろうか。今や問題は企業の利益が減るとか、経済の活性化が妨げられるというような問題ではない。子や孫の命に関わる問題なのだ。危機感をもって地球上の全生命の安全に取り組むという視点で対処すべき問題なのだ。国民や経済界が目先の問題のみにこだわり、子どもや孫たちの生命の安全を後回しにするとなれば、ここは日本の総理大臣が英断を下すべき時である。フランスの一歩も二歩も先を行く大気温暖化対策を打ち出し、世界の政治指導者としての福田さんの叡智と決断に期待したいものである。